マーケットってどんな場所?『アスナロ農園』

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皆さんは、モノを買いに行く時はどこに行きますか?
近所のスーパーや商店街、もしくは仕事帰りにフラッと立ち寄るお店。はたまたオンラインショップでポチッと
ボタンを押せば、翌日には届く時代です。限られた日程と時間の中で、対面で販売する“マーケット”には一見、
不自由なことも多く見えます。それでもマーケットで販売する出店者さんには、きっとマーケットだからこその
エピソードや想いがあるはず。

今回はあおいちマルシェにご出店いただいているアスナロ農園の小田桐さんにお聞きしました。

  • Photo:

    Mana Hasegawa

  • Text:

    Shoya Yamaguchi

本日はよろしくお願いいたします!さっそくですが自己紹介をお願いしてもよろしいですか?

アスナロ農園の顧問である小田桐朋子です。千葉県野田市で農園を運営しており、農薬や化学肥料、動物性肥料に頼らずに自然農法で野菜を育てています。また、お米や果物も栽培しています。

自然農法で野菜を作られているんですね。小田桐さんは元々農家のご家庭の出身なのですか?

両親が農家というわけではありません。父は税理士、母はりんご農家の娘でした。私もりんごの収穫作業に参加したことはありますが、自分で育てたことはありませんでしたね。

農家の家系ではあったものの、お母様は農業を継がれなかったのですね。それでは、どういった経緯で小田桐さんは農業を始められたのですか?

農業を始める前は、理科の教師をしていました。日々子どもたちと接している中で、子どもたちが元気に生きるためには『食べ物』が大事であることを再認識しました。
毎日、口にする『食べ物』に使われる農薬や化学肥料などは、子ども達の成長にも影響します。にもかかわらず、日本の食糧自給率は低く、「どうやって育ったか」が見えづらい輸入品が多いという現状があります。できるだけ子ども達には、安全で安心できる『食べ物』を食べて欲しい。そして、できるだけ多くの子どもたちに届けたい。そう思っていた頃に、農業高校出身の方と出会ったんです。お互いに農業をしたい、という想いから約20年前に農園をスタートしました。

アスナロ農園・小田桐さん

教師をやられている中で、子ども達を想う気持ちから農家を始められたのですね!

一緒に農業を始めた方は、お米をつくる技術がありました。なので、最初は無農薬のお米づくりからアスナロ農園は始まっています。今は、お米だけではなく野菜や果物も育てていますが、その方は今でもお米を中心に育てています。
アスナロ農園では、他にも野菜を中心に育てる人、お菓子を中心に作る人、とその人の得意なことを中心に作業を分担しています。

農園内の部門ごとに担当者がいる。その中で、小田桐さんは最初の自己紹介で仰っていたように、「顧問」という立場をされていらっしゃるのですね!

はい!いろいろな人が関わってくれるからこそ、アスナロ農園は成り立っているところがありますね。それは農園内のことだけではなくて、『援農』という形で関わってくれる人たちも含まれています。農業には時折、多くの人手が必要なタイミングがあります。そんな時に、援農で手伝ってくれる方達のおかげで、私たちは続けられています。
援農に来てくれた方達へは、バイト代を支払うのではなく、野菜やブルーベリーをお渡ししています。元々、そういった食べ物や農業に関心のある方が多いので、新鮮な野菜や果物を皆さん喜んでくださいますね!

のびのびと成長する1,500本のブルーベリーの樹々

アスナロ農園の野菜だけでなく、アスナロ農園の方々を応援したいからこそ、みなさん援農に参加されているのでしょうね!
さきほどブルーベリーのお話がありましたが、今がちょうど旬の時期ですよね。ブルーベリーも農園を始めた当初から育てていらっしゃったのですか?

実は最初からブルーベリーの栽培は行っていませんでした。あるブルーベリー畑の3代目として、約1,500本のブルーベリーを受け継ぐところからはじまったんです。

急に1,500本ですか!?それはどういう経緯で受け継いだのでしょうか?

初代の方が、教員を退職してブルーベリー栽培を始めました。その後、別の方に引き継いだのですが、その方も引退されることに。引き継ぐ人が見つからなかったら、ブルーベリーを伐採する話もあったのです。
そこで、私のところに話が舞い込んできました。“もの好きな人”、と周りからも思われていたのでしょうね!「じゃあ、やりましょう!」ということで、そのブルーベリー畑を3代目として、引き継ぐことになりました。最初の頃は地主の方も心配そうでしたが、援農でたくさんの方達が畑に来てくれる様子を見て、安心したようです。

ブルーベリー栽培も援農の方々に支えられて始まったのですね!ブルーベリーは最初から上手く育ちましたか?

いえいえ、最初は大変でした。ブルーベリーは「剪定」をしなくてはいけないのですが、それも独学で勉強しながらやっていました。育て始めて3年目くらいで、ようやく実がいっぱい付いてきたな、という感じです。
(アスナロ農園のブルーベリー狩りに行ってきた記事はこちら

野菜だけではなく、調味料、味噌、麹、お菓子などの加工品も販売されています。



自然農法で育った、新鮮で鮮やか野菜たち

色々な偶然も重なってブルーベリー栽培を始められたのですね。ちなみに野菜もたくさんの種類を育てられているようですが、何品目くらい扱っているのですか?

1年間で80種類くらいですね。例えばオクラでも、「八丈オクラ」とか「五角オクラ」など複数の種類がありますし、ナスでも5〜6種類の品種を栽培しています。それらを含めると、80種類くらいになりますね。私たちの野菜は、市場に出さずに直接お客さんに販売しているため、多様な品目がある方がお客さんにとっても選びやすいですよね。市場に出すと規格に合わせる必要があったり、農薬が必要になったりします。私たちの野菜は形やサイズも個性的。アスナロ農園で野菜を買ってくれるお客さんは、「個性があっていいじゃない」と言ってくれますね。

どういう場所で直接お客さんに売っているのですか?

地域によっては、ビルの中にある会社の中で販売したり、マンションの下で販売したりしています。販売して欲しいと頼まれることもあれば、販売する場所を提供してくださる方もいます。それぞれの地域の中で、お声かけいただいた様々な場所で販売しています。
他には、直接お客さんと野菜の話をしながら販売できる場として、マーケットにも出店しています。

常連さんとの一枚。3世代で会いに来てくれました。

マーケットの中でもあおいちマルシェで出店される理由はなんですか?

最初は「歌舞伎座 朝市」の案内をいただいて出店するようになり、「あおいちマルシェ」がはじまるときにもお誘いをいただき、出店するようになりました。いつも買いに来てくれるお客さんの中には、『野菜ボックス』を頼んでくださる方もいます。『野菜ボックス』は宅配便で野菜を送るという、アスナロ農園がおこなっているサービスなんです。その方は離れて暮らすお母さまにも野菜ボックスを紹介してくださり、お母様も野菜ボックスを頼んでくれています。
また、アスナロ農園では年間を通して子どもも参加できる芋掘りやブルーベリー狩り、収穫祭などのイベントも開催しています。あおいちマルシェのお客さんの中には、そういったイベントに参加してくださる方もいらっしゃいます。マーケットをきっかけに、お客さんとそういった繋がりができるところが、あおいちマルシェの良さですね。

先ほど援農のお話もありましたが、お客さんとお互いを支え合うような関係をマーケットを通じて築かれているんですね!小田桐さんにとって良いマーケットとはどういうものだと思いますか?

自分の売っているものに信念やこだわりを持っている。そんな出店者さんが集まっているマーケットが『良いマーケット』だと思います。今日のあおいちマルシェの出店者さんも、暑い中でも元気にお客さんとお話されているでしょう?自分の売っているものの良さを伝えたい、広めたい、という気持ちが共通してあるマーケットには今後も出店していきたいと思いますね。

子ども達の健康や「元気に育ってほしい」という想いから始まったアスナロ農園さん。マーケットでは小田桐さんから、こだわりの野菜やお米などの話を伺えます。笑顔の素敵な小田桐さんと話すと、こちらも元気がもらえますよ!

また畑では、収穫イベントも開催されています。実際に畑に足を運んで、援農やイベントにもぜひ参加してみてください!

プロフィール
アスナロ農園
千葉県野田市の農園で農薬にも化学肥料にも動物性肥料にも頼らない自然農法で野菜を育てている。また、野菜を使った加工品(調味料、味噌、麹、お菓子など)も人気!年間を通して、体験農園や援農などの様々なイベントも行っている。
公式HP
Instagram

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あおいちマルシェ