池田農園 × AERU|代々の地名を受け継ぎ守り抜く赤羽岩淵でつむぐ、人と食の循環
今回は、新たに2022年2月からスタートするプランから、北区エリアでの取り組みをご紹介します。
北区は赤羽岩淵のAERUの福原さん、栃木県栃木市で農業を営む池田農園の池田さんにお話を伺いました。
対話を通して生まれる理解
お二人は普段の活動の中で、どんなことを大事にされていますか?
福原:AERUは、2018年3月に北区赤羽にオープンしました。また、昨年には王子にもapollonをオープンし、現在は2店舗の運営をしています。
店舗を営む上で意識していることは、出す必要のないごみは極力出さないように心がけて仕組みづくりをしてます。例えば、店内では基本的にアイスドリンクでもストローの提供はせず、必要なお客様にのみ提供をしています。また、テイクアウトカップについてもお客様にマイタンブラーの持参を促したりなど、日々の会話を通して無理のない範囲でご協力いただいています。
池田:池田農園は栃木県栃木市で、14代にわたって農業をしています。特にお米の生産量が多く、季節ごとに多品目で年間数十種類のお野菜の栽培をしています。野菜自体の生命力や環境適応して進化させることを重視しているため、耐性のある種の採取をし次の代で栽培に使っていたり、土壌の微生物を多様性を維持し、バランスを保つため農薬や化学肥料を抑えた栽培を大事にしています。
顔の見える関係性の先に
CSA LOOPに参加しようと決めたきっかけを教えてください。
福原:シンプルに面白そうと思ったからです。仕事を選ぶ上で自分がワクワクするかどうかって結構大事にしていて、この取り組みはまさにそれでした。尊敬している4Nature代表の平間さんが取り組もうとしていることだし、協力したいなと思ったもの1 つの理由です。
中でも最も大きな理由としては、東京にいながらにしてこのような取り組みや関係性を築くことができるのは僕自身の人生を豊かにできる気もしているし、地域の人を巻き込んで「 街のコーヒー屋 」としての可能性を存分に活かせると思ったのが大きいです。
この取り組みに参加したことでお店の利益に繋がることはないと思っています。しかし、こうした仕組みを通して農家さんとの繋がりができることでずっとやってみたかったトレーサビリティがしっかりしている商品づくりなどが可能になると考えています。
例えばお店で毎日出るコーヒーカスをコンポストして、それを農家さんと一緒に有効活用をしていけるようになればより豊かな循環を作れると思っています。
東京でお店を営みながら顔の見える関係性を築いていけることに素直にワクワクしたのも参加を決めた理由です。
池田:CSA LOOPは消費者と生産者に大きな接点が生まれると思います。農家としてこれを活用することで、新たに農業に関わっていく人にやり甲斐が生まれる可能性があると考えています。実際、農園のある地域では29歳の自分が最年少ですが、その上は50歳の方というくらい、従事者が減ってきています。それに伴って、周辺の田んぼも放棄されつつある状態が広がり、地域として農業を盛り上げていくということが重要になると感じています。
また、東京に拠点を設けることで、普段関わることのない人と関わることができて、何より自分の野菜を食べてもらえるというのは、大きな喜びですね。
コミュニティが生む人と人との関係性
この赤羽という場所で、どんなコミュニティが育っていきそうでしょうか?
福原:いい距離感を保って、何かコミュニティメンバーの有事の際は自分事のように向き合えるような関係性を構築できたらと思っています。環境問題への意識の改革や地域の近い場所にコミュニティを持つことなどの面白さへの気づきなどが生まれたらいいなと思います。
池田:お互いのアイデアをお互いが実践できるような、友人のような関係性が生まれるのではないかと感じています。
これから始まるコミュニティのなかではどんなことが起こっていきそうですか?
福原:「街のコーヒー屋」として、地域の方がもっと集まるような場所、想いや循環が交差する場所になったらいいなと思っています。また、野菜やお米などを買う場所へのアクセスもあまりよくないので、この拠点に農家さんがお野菜の販売もしてくださると地域の方々はとても助かるんじゃないかなと思います。
あとは、いずれは農家さんにコミュニティメンバーで出向き、ご迷惑でなければ農業のお手伝いなんかできたら、人生において貴重な経験ができるなあと思っています。
池田:多くの人に、正真正銘の農家直送の農作物を味わってもらえると思うと楽しみです。 また、一般的な「農業」という固定観念のようなものも変えられるかもしれないと感じています。
例えば、農業と関わわることでの食の観念の見直しにつながったり、子ども達の教育などに生かせたり、農園をメンタルヘルス改善の場にしてもらったり、移住まで考えなくても、こちらの地域活性に協力してもらったりなどです。実際に人との出会いのなかでこれらの事業化も将来的に見えてきたりするのかな、とも思います。
地域とつながり、お野菜を楽しむ
最後に一言お願いします。
福原:1年間だとボリューム感はありますが、1ヶ月分で考えたら決して高いものではないのかなと思っていて、野菜セットの対価としては妥当だと思います。値段云々よりも、農家さんと直接のつながりが持てたり地域の小さなコミュニティを知ることで、きっと人生がより豊かになっていくのではないかと思っています。
もちろん、「コミュニティなんて面倒くさい」って方もいらっしゃるかと思います。そんな方でも、月に1 度作り手さん(農家さん) から直接お野菜を受け取れる仕組みに参加できる機会は東京に住んでいると滅多にあるものではないと思うので、そこに価値を感じていただけたらと思います。
池田:実は都内には出たことがないので今回のCSA LOOPがきっかけで拠点に通うことになるのですが、この地で新しいつながりが生まれていくことにワクワクしています。
初めての取り組みですので、色々とご迷惑をかけることもあるかと思いますが、ご理解をしていただけたら幸いです! ぜひ、農家直送野菜をお試し下さい!
AERU
7:00~14:00
火曜、水曜