末永いお付き合い|『宮本みそ』宮本晃裕さん

feature

壊れても修理に出してまた使う
無くしてしまったら代用が効かない
実用性や機能性が二の次になってしまう
たとえ使えなくなったとしても手放せない

そんな私たちの中に込み上げる、愛着。
何かを愛おしく思う気持ち
大切にする気持ち、大事にしたい。

自身が“愛着”のあるものについてお話をお聞きします。
今回は『宮本みそ』宮本さんのところへ。

  • Photo:

    Mana Hasegawa

  • Text:

    Mana Hasegawa

プロフィール
宮本みそ|宮本晃裕さん
富山県魚津市、昭和32年に先代の祖父母が始めた小さな味噌屋の2代目。創業から変わらず、すべての工程を一つひとつ手作業で仕込み、アルコール・添加物を一切使用していない味噌はほんものの「生きた味噌」。原料の米や大豆も自分たちで育て、糀も手づくり。伝統的な「こうじ蓋製法」で仕上げた糀をたっぷりと使い、じっくり丁寧に醸した味噌は、心がほっとする懐かしい味。
2022年には築40年の古民家を改修した直営店『BOBO.』がスタート。店内では味噌や甘酒が買えたり、自家製の甘麹を使用したヴィーガンジェラートが味わえたりする。

HP:宮本みそ / BOBO.
Instagram:宮本みそBOBO.BOBO.Gelato

農作業の相棒!形が特徴的な“鍬(くわ)”

丸い形が特徴的。先代から引き継ぎ、何度も修理しながら使い続けている

『宮本みそ』の2代目として味噌屋を営む宮本さんへ、“愛着”のあるモノを聞いてみた。てっきり味噌の仕込みに使うモノかと思っていたが、(意外にも!?)農作業で使う鍬(くわ)が思い浮かんだとのこと。
鍬と聞くと刃が3本や4本に分かれたものをイメージしていたが、宮本さんが持ってきてくれたのは、なんと貝殻のような丸みのある刃!

「鍬って地域によって形が微妙に違うらしいんです。鍬なんてホームセンターで買えばいいじゃんって思うんですけれど、全然違うんですよ。慣れもあると思いますが、他のものだと上手く使えないんです。
これは、先代のおじいちゃんおばあちゃんが使っていたもので、一緒に田んぼや畑仕事をしていた思い出もありますね。いちよ、どこで買ったかとかどこで修理しているかっていうのも聞いてはいますが、修理してくれる人ももう高齢で…。いつ何時、どうなるんだろう、と思っています」

自家製の米を使った、雪のように真っ白な“糀”

「先代から受け継いだものは、味噌を混ぜる機械や大豆を潰す機械などもあります。米をつくる時も、トラクターや耕運機を使うこともあります。でも、そういう機械よりも鍬の方が“愛着”がありますね。
やっぱり鍬がないとだめなんです。土を薄くかける時なんか、これがないと上手くできない。種を蒔いたり、苗に土を寄せたり、農業の始まりの瞬間から手の中にあるモノですね」

味噌屋の中でも数少ない“米づくり”からされている宮本さん。先代からそうだったという、農業ありきの味噌づくりを変わらず続けている。今では大豆も自分たちで育て、自分たちでまかなえない原料は地元の信頼できる農家さんから仕入れる。
自分で育てたもの、どこの誰が育てたものなのか。嘘のない、説明のできる原料のみを使い、味噌を仕込んでいる。

「味噌は生きています。だから毎年味が違って当たり前なんです」

その年の気候や気温によって味や出来が変わる野菜や果物のように、味噌もまた自然に影響される農産物だ。だからこそ、毎年の味噌の味が楽しみになる。今年もまた、春の訪れとともに宮本さんは鍬で畑を耕すのだろう。



宮本みそ
BOBO. / BOBO.Gelato
HP:宮本みそ / BOBO. /BOBO.Gelato
Instagram:@miyamotomisobobo.friendsbobo.gelato

関連記事
保存食のすゝめ|味噌屋『宮本みそ』

『宮本みそ』さんと一緒に仕込む“味噌仕込みワークショップ”開催決定!

『宮本みそ』の味噌仕込みキットを使って、みんなで一緒に味噌づくりをしませんか?
ただ説明書を見て仕込むのではなく、味噌屋ご主人・宮本晃裕さんから味噌仕込みのレクチャーと工房ツアーもお願いしています。普段なかなか会うことのできない、味噌のつくり手とお話ができますよ!
味噌づくりが初めての方も、こなれた“味噌ラバー”な方も、この機会にぜひ一緒に“自家製手前味噌”を仕込みませんか?

ワークショップ情報

日時:4月27日(土)10:00〜12:00
場所:オンラインにて開催(全国どこからでも参加できます!)

概要:
・『宮本みそ』の味噌づくりキットを使った味噌仕込み
・宮本さんによる、味噌仕込みレクチャーと工房ツアー
・宮本さんへ味噌に関する質疑応答

チケット販売ページはこちらから!