畑に会いに行こう|お米

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お米。72候では、秋が深まるこの時期を「水始涸(みずはじめてかるる)」と呼び、水田の水を抜いて稲刈りの準備をする頃とされています。お米は古くから私たちの生活に欠かせない存在です。
いつも当たり前に食卓に並ぶものが手に入らなくなったとき、改めてその有り難さを感じます。
今回は千葉県東金市のみろく農場にお邪魔して、育ち盛りのお米に会ってきました。

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    Chieko Kamitonda

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    Chieko Kamitonda

お米の準備

「お米の収穫が終わったら、すぐに次の年に向けた準備が始まります。2月頃にかけて田んぼを耕し、4月頃から水を引き入れて田んぼを平らにするなど田植えの準備を整えます。その後、ようやく田植えが始まります。そこからは水の管理に集中し、水が足りているか等に気を配りながら周囲の草を刈るなどの手入れを続けます。多くの農家は適正な管理のもと除草剤を使いますが、私は使わずに手作業で管理しています。

6月の終わり頃には、田んぼの水を抜いて乾かす作業を行います。これにはいくつかの目的があり、まず機械が作業しやすいように土を固めること、そして水を抜くことで土に亀裂を入れ、稲の根に酸素を供給することです。これにより、稲は一層元気に育つんです。その後、お盆過ぎ頃から早いところでは稲刈りが始まりますね」

収穫直前の田んぼの様子。手前の稲が倒れて見えるのは、豊作の証なんだそう。(撮影:みろく農場)

お米づくりという挑戦

一年を通して丁寧に育てられる稲。そんなお米農家の仕事を取り巻く環境は、年々厳しさを増しているといいます。

「一反あたりの利益は、月に換算するとお米農家平均で5000円程度しかありません。お米騒動の前は特にどんどん価格が下がっていて、大規模化するか、何かしらの工夫で単価を上げなければやっていけない状況でした。さらに、機械の値段もどんどん上がっているので、一度故障すると買い替えができず、農業を辞める人も多いです。」

そんな中でも室住さんがお米を育て続ける理由は何なのでしょうか。

「今は安定した売り先があるし、何よりも色々なことに挑戦するのが楽しいです。でも、もし赤字になったらその時はやめるしかないとは思っています。」

お米づくりには、私たちが普段目にする以上の手間と努力が込められています。ですが、その手間や努力と反比例するように、多くの農家さんが年々困難な状況を強いられていることも事実です。お米が当たり前に食卓に並ぶということの大切さを改めて感じ、私たち消費者が出来ることは何なのだろうと考えさせられる時間となりました。

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