保存食のすゝめ|お味噌汁専門店『みそめぼれ』

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いつもの食卓にあると、ほっとする。
なんなら毎日、毎食食べてもなぜか飽きないお味噌汁
そんな私たちの生活になくてはならない、『味噌』の味。
どうやら最近、自分で仕込む“手づくり味噌”が人気らしい。
でも、そもそも「味噌ってどうやってできるんだろう?」
「美味しい味噌ってどんな味噌?」
味噌のつくり手、味噌を愛する人たちに会いに行こう!話を聞こう!
今回は、 全国47都道府県の味噌から選べる
お味噌汁専門店『みそめぼれ』に行ってきました!

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    Mana Hasegawa

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    Mana Hasegawa

プロフィール
みそめぼれ|お味噌汁専門店
東京・六本木で全国47都道府県、47種類のお味噌汁と日替わりおにぎりが楽しめる“お味噌汁専門店”。忙しない現代でも、ほっと一息つける場所と時間を提供している。
日本の土地、風土や文化を感じられるような多様性のある味噌の中から、好きなお味噌汁をワンハンドスタイルでいただける。遠くの故郷やまだ見ぬ『ふるさとを想う』をコンセプトに、健康に良いだけではない味噌の力を発信している。イートインの他、テイクアウトやケータリングの注文も受け付けている。

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どうして“お味噌汁”専門店を始めたんですか?

東京・六本木駅から徒歩3分。飲食店や煌びやかな店舗が並ぶ通りを一歩奥に進むと、目に入ってくるのは「味噌と米」の文字。そう、そこが全国47都道府県、47種類のお味噌汁がワンハンドで楽しめる“お味噌汁専門店”『みそめぼれ』です!
お店に入ると、保存瓶に入った各都道府県から集まった味噌がお出迎えしてくれます。大豆や麹のつぶつぶ、色味もさまざまな味噌。この味噌の瓶からでも、味噌の多様さが伺えます。

発酵食品への関心は年々高まっているように感じますが、それでも「どうして“お味噌汁”専門店なのか?」が気になりますよね。今回は、『みそめぼれ』の藤巻さんにお話を聞いてきました。

コンセプトは『ふるさとを想う』

「味噌と米」の文字。“みそめぼれ”の暖簾と味噌の瓶がお店の目印!

元々、和食が好きで特に米と味噌汁が好きだと仰る藤巻さん。六本木という街、かつ限られたスペースで何かお店ができないか?と考えた時に、“お味噌汁”専門店への着想が生まれたそうです。

「お味噌汁って、食べるとほっと安心するなって思うんです。『みそめぼれ』では、“味噌のちからで心と体を健康に”という理念を掲げています。味噌には“味噌は医者いらず”なんてことわざもあるくらい、体に良くて健康的な食べ物でもありますよね。
さらに、味噌は日本の土地や蔵元によっても全く違うものができます。六本木という街は、日本人のみならず、海外の人も訪れる多様な街です。お味噌汁を通して、日本の文化や魅力を伝えられると思いました」

まるでカフェスタイルでお味噌汁が楽しめる!写真は「三重県」の赤だし味噌

「47都道府県の味噌を揃えているので、東京に集まった人が自分の“ふるさと”を思い出しながらお味噌汁を味わえます。逆に東京生まれの人が、まだ見ぬ“ふるさと”へ想いを馳せるきっかけにもなるかもしれません。
仕事が忙しかったり、呑んで疲れたり。それでも、“ふるさと”のお味噌汁はこんな味だったかもな、みたいに。忙しない現代の中で、お味噌汁でほっと立ち返る。そんなお店にしたいですね」

多様性に満ちた47都道府県の味噌

棚に並ぶのは、47都道府県から集めた個性的な味噌たち

『みそめぼれ』の特徴は、店内に並んだ47都道府県の味噌から好きな味噌を選んで、お味噌汁がいただけること。味噌の入った保存瓶が47個並ぶ光景に、「どこの味噌にしよう?」とついワクワクしてしまいます。

「せっかくお店に足を運んでいただくのであればと、あまり市場に出回らない味噌を中心に集めています。例えば、岩手県の味噌に選んだ蔵元さんは、味噌にベートーヴェンの音楽を聴かせて醸造したり、青森県の蔵元さんは、温泉の地熱を活かして醸造していたりするんです。そういう都道府県や地域だけではない、蔵元さん独自の面白い取り組みや文化が背景にある味噌たちも多く集まっています。
味噌の蔵元って、やっぱり高齢化が進んでいて…。後継者問題もありますし、手づくりのところも多いので、大量にはつくれないこともあります。そういった問題にも、味噌を知ってもらうことで興味を持ってもらえるかもしれない。知ってもらうことで、少しでも現状が変わるきっかけになったらいいな、と思っています」

全国の味噌が一目で分かる、「MISO MAP 47」



県名とともに、味噌の特徴や名前が書かれている

店内には、都道府県の味噌の特徴や名前が一覧できるマップも用意されています。気になる味噌、気に入った味噌は、ぜひスタッフさんに聞いてみてくださいね。こちらのマップで味噌を探すもよし、スタッフさんに相談して選ぶのも楽しいですよ!

人気の味噌とお味噌汁の楽しみ方

お味噌汁は、250mlのMサイズ500円と350mlのLサイズ700円から選べる。別途好きな具をトッピングして楽しめる

『みそめぼれ』について調べると、驚くのがその営業時間!昼の12時から翌朝の6時までと、なかなか目にしない営業時間です。取材に訪れた日の夕方は、お父さんとお子さんが2人でお味噌汁とおにぎりを食べる姿も。六本木という街の特性上、様々な年代・国籍の人がお味噌汁を楽しみに訪れています。

「長い時間営業しているので、時間帯ごとにお客さんの色も全然異なるんです。オープン開始のお昼頃は、比較的お味噌汁目当て、味噌や発酵食品に関心のある人が多い印象ですね。一番注文が多いのが、終電前後。土地柄、4時〜5時のお客さんも多いです。
お届けしているのがお味噌汁とおにぎりなので、軽食としてもいいですし、飲み会前のちょっと小腹が空いた人、夜の締めに利用してくれる方も多くいらっしゃいます。二日酔い防止にもお味噌汁はぴったりですからね」

「愛媛県」の麦味噌。麦麹をたっぷり使った味噌は、塩分控えめで甘みと香りも強い。一味違った味噌にチャレンジしたい人におすすめ!

「場所的に選びやすいというのもありますが、北海道や京都の味噌を選ぶ人は多いですね。あとは、“赤だし”もキャッチーで人気です!東京だと、お味噌汁を赤だしでつくる人は少ないですよね。でも飲食店の定食では赤だしのお味噌汁が出てくることもあり、ちょっと飲んでみようかと思う人が多いようです。
お店がオープンしてまだ1年経っていないのですが、すでに全国のお味噌汁を制覇したというお客さんもいらっしゃいます。スタンプラリーとかがあっても面白い、という意見もいただいているので、用意したいですね!」

この日は人気の三重県の赤だしのお味噌汁に、藤巻さんおすすめの三つ葉となめこをトッピング。赤だし味噌の特徴である濃い色、コクのある味わいに、なめこの食感と爽やかな三つ葉が合います。
こうなると、他の味噌も食べ比べてみたくなるのが食いしん坊の性。今度は「クセのある味噌」をスタッフさんに聞いて試してみることに!

おすすめしてくれたのは、愛媛県の麦味噌。赤だし味噌とは打って変わって、麦のつぶつぶ感が見た目からも分かる白っぽい味噌。麦麹をたっぷり使った麦味噌は、独特の麹の甘みが体に沁みる。飲み比べてさらに分かる、味噌の多様さと奥深さ。全国制覇したくなる気持ちにも納得です!

味噌に恋する『みそめぼれ』

お味噌汁と一緒に食べたい、おにぎり!おにぎりは日替わりで、写真は「三重県」の赤だしお味噌汁と「出汁香る 塩おにぎり」

『みそめぼれ』の忘れてはならないもう一つのメニューが“手づくりおにぎり”です。使っている米の品種は「ひとめぼれ」。まさに、味噌に恋する『みそめぼれ』にぴったりの米です!

「おにぎりの米は、お味噌汁でも使っている出汁を入れて炊いています。おにぎりを食べるとほんのりと出汁の香りがする米になっているんです。同じ出汁を使っているので、お味噌汁との相性も良くって。1人のお客さんが3個ぐらいぺろっと食べちゃったって話も聞いたことがあります!
おにぎりだけではなく、小腹が空いている方には煮麺のトッピングもおすすめです。お味噌汁には色々なトッピングができるので、例えばトッピングから味噌を選んでみるのも楽しいですよ!スタッフに聞けば、好きなトッピングに合う味噌を提案してくれます」

おにぎりは日替わりで、シンプルな塩おにぎりからおかかおにぎり、とろろこんぶのおにぎりなど種類も豊富。いただいた「出汁香る 塩おにぎり」は、口に入れた瞬間にほんのりと香るお出汁といい塩梅の塩味が、噛み締めるごとに旨みを増します。素朴ながらこだわりの詰まったおにぎりを食べると、ほっと肩の力が抜けて平和な気持ちになります。

人気の三重県の赤だし味噌汁に三つ葉となめこをトッピング!



スタッフさんによる“削りたて”のかつお節も、美味しさの秘密!

「いまのご時世、なかなか自分でどこかの味噌を取り寄せてお味噌汁を飲んでみようってことは少ないと思います。個人では消費できないこともありますしね。『みそめぼれ』だったら、いろんな種類のお味噌汁が楽しめます。気に入った味噌をリピートできる、例えば味噌を買えるようにできたらより楽しめて、味噌が身近になるのかな、とも思っています。
今後は、よりたくさんの方にお味噌汁を楽しんでいただけるように店舗も増やせたらと思っています」

とのこと。みなさんのお住まいの近くにも『みそめぼれ』がやってくる日も近いかもしれません…!

美味しいお味噌汁でプチ旅行、里帰り気分。お気に入りの味噌の味を探しに行ってみてはいかがでしょうか?