イベントレポート/商店街、保育園から考える、私が住みたくなる街って?

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1.2 mile community compostでは、第一線で活躍されながら環境や循環などの取り組みもおこなっている方々にお話を聞き、知見を広げるとともにわたしたちの次のアクションや価値観のきっかけになる機会を設けています。

  • Photo:

    Yuri Utsunomiya

  • Text:

    Risako Sugaya

今回は地域について考える「商店街、保育園から考える、私が住みたくなる街」というイベントを開催しました。1.2 mile community compostでは、堆肥を地域の中でどのように循環していくことができるかを模索しています。商店街や保育園のキーパーソンと対話することで堆肥の活用についても視野が広がるきっかけの場になりました。

今回は千駄ヶ谷1期のメンバーである菅谷里沙子さんにレポートを寄稿いただきました。

はじめに

1.2 mile community compost 千駄ヶ谷1期では千駄ヶ谷を拠点に活動してきました。

こちらのエリアは、2020年東京オリンピック・パラリンピックのメイン会場「国立競技場(オリンピックスタジアム)」や「東京体育館」があるほか、「将棋会館」があることでも知られています。

また、都心に位置しながら、西に「明治神宮」、北に「新宿御苑」、東に「明治神宮外苑」と、三方を広大な緑地に囲まれ、都心にいながら豊かな自然を身近に楽しめるのが特徴です。

それに、近年は東京メトロ副都心線「北参道」駅にかけてのエリアを「ダガヤサンドウ」と呼ばれるようになり、おしゃれなカフェやレストラン、アパレル系のショップもある落ち着いた雰囲気の街という印象を持たれている方も多いのではないでしょうか。

今回は、千駄ヶ谷大通り商店街振興組合の理事を務め、商店街の取りまとめなどをされている岡﨑千治さんをゲストにお招きし、1.2 mile community compost3期メンバーで、3期活動拠点「きっともっと保育園」の運営をされている土井田理以さんとともに「商店街」「保育園」から私たちが住みたくなる街について考えていきました。

街の勢いを保ち続けるには?

初めに、岡崎さんから商店街の歴史や街の移り変わり、現在の取り組みなどについて教えていただきました。

コロナ禍では、商店街の中でテイクアウトサービスを行う飲食店の宣伝活動を実施するなど、サポートを行っていたそうです。

また、大きなお豆腐にお役目を果たした針を刺して供養をする「針供養」の行事を鳩森八幡神社で執り行ったとのお話も、ファッション、アパレル企業が多く「針」にご縁のある千駄ヶ谷エリアならではの取り組みとして印象的でした。

また、現在抱えている課題としては、「街から人が減ってきていること」で、住む人以外で街に関わる人を増やしたいとお考えでした。千駄ヶ谷における1.2 mile communuty compostの活動は、まさにこの例に当てはまるのかもしれません。

子どもと地域と保育園と

2019年から開設されたきっともっと保育園が考える、「子ども」と「地域」と「保育園」の3つの関係性について土井田さんからお話をいただきました。

ピュアな存在である「子ども」と共助・学びの場の「地域」をつなげるのが「保育園」の役割であるとのこと。その活動の一つとして、「商店街ツアー」を実施しているそうです。

例えば、花を買うという行為一つとっても、金銭のやり取りだけでなく、お店の方とのコミュニケーションも生まれます。

こちらのお話から、子ども達は社会との関わりについて学ぶ立場であるとともに、子どもたち自身が地域社会を結ぶ役割を担っているのだと感じました。彼らの成長を街全体で見守る事が、地域の繋がりに結びつくという事です。

住みやすいまちってどんなまち?

お二方からのお話を受けて、参加者の私たちも実際に街について考えてみました。

コミュニティメンバーからは、ご近所さんと一緒に子育てをしたエピソードや、中学校時代の職場体験で同級生の親御さんからご指導いただいた思い出などが挙げられました。地域とのつながりによって、学べたことや助かったことの一例でした。

一方で、長い間その街に住われている方か新参者の方かによって、地域との関わりに対する捉え方が変わるという意見も挙がりました。実際に、住む街に馴染みが薄い方にとってはコミュニケーションの取り方が分からなかったり、コミュニティに入っていけないという課題もあります。

ー私自身の経験を振り返った時、小中時代に参加した地元のお祭りが思い浮かびました。子供達は大きな御神輿を担ぎ、お囃子を奏でながら近所の家々を回ります。家の外まで出てきて私たちに声をかけてくれるお家の方や、安全に街を回れるように誘導してくれたその地域のお父さんお母さんの顔が浮かびました。

メンバーとの会話の中でも、お祭りは「子ども同士、子どもと大人、大人同士と、様々な方向のコミュニケーションが生まれ」「街の活性化や一体感を生み出す側面があり」、地域のつながりを作る役割を持っているのでは?という結論に至りました。

関係性が作られていない状態で、何かを依頼したりすることは難しいかもしれません。しかし、お祭り効果があれば、街の人と関わるハードルが少しでも下がるのではないでしょうか。

千駄ヶ谷にある明治公園では、2023年から公園周辺のまちづくりにあわせて新たな公園の整備を開始するそうです。その公園のプランターには、コンポストで生まれた堆肥を活用する予定だとか。子ども達の「遊び場」である公園が、食べ物の循環について「学ぶ場」の役目も果たしてくれることで、より一層地域として盛り上がるのではないでしょうか。私たちも、今回のご縁を通して、千駄ヶ谷に心を寄せる立場としてとても楽しみにしています。