マーケットってどんな場所?『neo&blanco』
本日はよろしくお願いいたします。はじめに細野さんが販売されている商品について、教えていただけますか?
よろしくお願いいたします!「neo & blanco」というショップブランドを運営しており、現在は日本で唯一取り扱っている品種のデーツや発酵ザクロなどの美味しくて身体にも良い食品の販売をしております。
「neo & blanco」というお店の名前にはどのような意味が込められているのですか?
ギリシャ語で“新しい”を意味する「neo」とイタリア語で“白”を意味する「blanco」を組み合わせた造語です。食卓の白いキャンパスに皆さんの新しい食へのイメージを描いて欲しいという想いからこの言葉を選びました。
素敵な想いが込められてますね!もともとご自身のお店を開きたいという考えがあったのでしょうか?
以前から輸入代理業には関心があって、食材の本当の姿を皆さんに届けたいという考えがあったんです。これまで仕事の関係で様々な国を訪れる機会があったのですが、日本と海外で食べる食材の違いに違和感を感じることが多々ありました。
例えば、デーツ。デーツからわざわざ種を抜きとるなど不必要な加工をしてまで日本へ届ける必要があるのかな、と食品業界への懸念がありました。
食品業界への違和感を感じたとのことですが、何か具体的なきっかけがあったのですか?
祖父も父も料理家だったこともあり小さい頃から食に触れる機会が多く、私自身も以前は料理家の仕事をしていました。そこでより美味しい料理をつくるため、良い食材を自分自身で取り寄せるようになりました。だんだんと、料理よりも食材の方に関心を持つようになったんです。
例えば、日本に輸入されているドライトマトは現地で販売されている食材と違って原型の残っていないものも少なくありません。実は食材の“本物の美味しさ”を知らないまま、それを当たり前と考えている方も多いのではないかと思いました。
厳選された食材を販売されているルーツには、これまでに感じた違和感があったのですね。現在は主にデーツや発酵ザクロを販売されていますが、商品を選定する上で大事にされているポイントはありますか?
まず第一に、自分が“感動”したか。その上で美味しくて、身体に良いと思う食品を取り扱っています。普段から添加物を取らない生活を送っているので、商品も添加物を含まないものを選んでいます。やっぱり自分が食べられるもの、感動したものだけを扱っていたいですね。
ホームページで使われていた「食べ物の住所」という言葉も気になりました。
ありがとうございます!「食べ物の住所」というのは“産地”と“過程”のことで、どこから来た食材で、どのように加工されてきたものなのか過程をしっかりとお伝えして、皆さんにも意識してもらえたら良いな、という想いがあります。
サステナビリティや環境への配慮にも力を入れられていますよね?
そうですね。パッケージはなるべくプラスチックではなく紙を使用するなど、できる限り配慮しています。日本の食品は過剰包装されていることが多く、昔から気になっていたので、紙でデーツを包むだけのようにシンプルな包装にしています。
デーツや発酵ザクロなどの商品は、今お話いただいたポイントを大切にしている食品を探している中で見つけたのでしょうか?
商品によって出会った経緯は違います。
もともとお店を始めるきっかけになったデーツは、レバノンを訪れた際に偶然出会いました。食べた瞬間に「こんなに美味しいデーツがあるなんて!」と感動しました。今まで食べてきたデーツと全然違うんです。その後生産者と交渉し、現地の様子も見た上で販売を始めました。
発酵ザクロと出会ったのは偶然ですが、生産過程や使用食材などをしっかりと見定めてから取引を決めました。
3年前のコロナ禍の時に、当時住んでいた日本からトルコへ引っ越しをしました。その際に、情報収集も兼ねて訪れたトルコのマーケットで発酵ザクロを発見したんです。日本のお客さんにも届けたいと思い、トルコで発酵ザクロをつくっている生産者をいくつか調べて、詳細を聞いたり現地を視察したりした上で取引先を決めました。
必ず現地に行かれているのですね?
そうですね!販売する商品については、必ず自分の目でどのような方が、どのようにつくっているのかを見るようにしています。やはり、輸入して販売をする以上責任があり、違う文化を伝える綱渡しのような役割を担っていると思っています。捉え方はお客さんの自由ですが、誠実なものを伝えるべきだと思うんです。
普段はECを中心に販売をされていると思うのですが、なぜマーケットにも出店されているんでしょうか?
普段はトルコに住んでいることもあり、日本向けにECでの販売とオーガニックの食品などを扱っているショップへの卸販売などをメインにしています。ただ年に数回日本へ帰国した際には、催事やイベントに出店してお客さんと直接コミュニケーションを取るようにしています。
最初にご出店いただいたのは歌舞伎座 朝市でしたが、どのような経緯で参加されたのでしょうか?
4Natureスタッフの方からたまたまお声がけをいただいて、すぐに出店することを決めました!それまでは、オーガニック食品の催事やスーパーのポップアップなどには出店したことがあったのですが、マルシェには出店したことがなかったので気になったんです。
4Natureのマーケットと催事やイベントでは何か違いはありましたか?
イベントと違い、日常に近いマーケットはお越しになるお客さんの層がバラバラで、偶然の発見や出会いが多いように感じます。
歌舞伎座 朝市に出店した際は、ショップのオーナーの方の目に止まることが多くて、その日にいくつか卸の販売が決まって驚きました!あおいちマルシェでは、普段購入いただくことの多い30代以上の女性だけではなく、若い男性にも何人か興味を持っていただけたことが意外な発見でした。
お客さんとの関わり方で大切にしていることはありますか?
やっぱり“本物の食材”を知って欲しいので、実際に試食をしていただくことを大切にしています。その時に皆さんの顔が、「えー!」と驚きの表情に変わった瞬間が一番嬉しくて、やりがいを感じますね。
表情が変わるのは嬉しい瞬間ですね!試食をされる際には、どのような言葉でお客さんにお伝えしているのでしょうか?
商品で使用している原材料やつくり方の工程などは、丁寧にお伝えするようにしています。例えば、発酵ザクロは果汁のみを100%使用しており、100℃以上の濃縮還元によって栄養素を壊すのではなく、60℃以下の加熱処理によって栄養素を壊さず美味しさとのバランスのとれた商品であることをお伝えしています。
普段は中東に滞在されていますが、日本のお客さんと接した際に意識や考え方の違いなどは何か感じられますか?
とても面白いことに、今私が住んでいるトルコの方は健康意識が低いんです。ですが、生産者との距離が近く、マーケットなどで新鮮な野菜をお買い物でき、添加物の入った調味料などは全く売られていないんです。街の惣菜屋さんもいっぱいありますけど、化学調味料などは使わずに朝から時間をかけてつくられています。
日本で購入いただけるお客さんは、食や健康への意識が高いと感じますね。使用している食材や加工の過程についてもよく質問をいただきます。その土地の食文化や周囲の環境の違いによって、食や環境の意識の違いがあるように感じます。
最後に、これからチャレンジしたいことはありますか?
ドバイでも今後は展開したいと思っています。ドバイはオイルマネーによって経済が盛んですが、良い食材や料理などが少なく、日本発のコッペパン屋さんなどがとても人気だと聞きます。トルコからの距離も近いので、日本の次に広げていく国として良いのではないか、と。とはいえ、まずは日本のお客さんにもっと“本物の食材”を知っていただけるように引き続きECやマーケットなどで販売をしていきたいと思っています。
今回は、日本ではあまり見かけることの少ないデーツや発酵ザクロなどを販売されているneo&blancoの細野さんにお話を伺いました!
ご自身が料理家だった際に感じた食品業界への違和感をきっかけに、“本物の食材”を多くの方へ届けています。自らトルコやレバノンなど中東の国々の生産者を訪れ、商品ができるまでの過程をご自身の目で見て厳選されています。ぜひ、マーケットに出店されている際は商品の裏側のストーリーも聞いてみてはいかがでしょうか?
プロフィール
neo&blanco
中東の地で栽培された本来の美味しさを味わえる「デーツ」や伝統製法で自然発酵された「ザクロ酢」など、身体や心を健やかにしてくれるだけでなく、地球にもやさしいものを販売。生産者さんたちの商品へのこだわり、想いまでを「在りのままの形」の魅力をお届けしたいという想いから活動されています。
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