保存食のすゝめ|お家でつくる!ジンジャーエールの素
『生姜』って野菜?植物のどこを食べている?
料理の具にスイーツ、ドリンクやスパイスとして。メインにどーんと使われることはありませんが、日本に限らず、世界中でひっそりと活躍してくれている『生姜』。そんな『生姜』は「野菜」なのでしょうか?それとも「香辛料」?
正解は「野菜」!日本の食品成分表では、野菜に分類されています。なお、すりおろしたものやパウダー状にしたものは、「調味料及び香辛料」に分類されるそうです。
さて、世界中の台所で活躍している香辛野菜『生姜』ですが、実は私たちが食べている部分は「根っこ」ではないことを知っていましたか?調べてみてびっくり!なんと、その正体は「茎」。
『生姜』には、体に良い成分がたくさん含まれています。代表的な作用としては、血行を促進して、体を温めてくれる効果でしょうか。『生姜』入りのドリンクや料理を食べると、体がポカポカしてきますよね。その効果は、漢方薬にも活用されています。実に漢方薬で使われている薬の7割以上に、『生姜』が含まれているそうです。
何気なく料理に使ったり、食べたりしている野菜ですが、改めて調べてみると面白い発見がたくさんありますね!
新生姜に根生姜…呼び方が色々あるけど、どう違う?
スーパーに行けば年中見かける『生姜』ですが、よくよく見ると夏頃から葉っぱ付きの生姜があったり、白っぽい「新生姜」と表記されているものあったり…。色々な姿形、呼び方がある『生姜』は、一体どう違うのでしょうか?
『生姜』の種類
●葉生姜
初夏に出回る「葉生姜」。その名の通り、小さな生姜の先には長い葉がついています。「谷中生姜」、「金時生姜」と書かれている生姜は、「葉生姜」の一種。辛みが強く、小ぶりで品のある形をしています。
●新生姜
6月頃から出回り始める「新生姜」。そのほとんどは、ハウス栽培された大生姜です。色が白く、葉っぱの付け根部分が赤っぽくなっています。繊維が少なくやわらかいのが特徴。食感も瑞々しく、辛みもおだやかです。
●根生姜(ひね生姜)
普段目にする、茶色い生姜。スーパーなどでは手のひらサイズで売られていますが、実際は大きな株の一部。固くて、繊維質。辛みも強めで、臭み消しに活躍!露地栽培された生姜は、貯蔵して水分がとび、皮が茶色っぽくなった「根生姜」として流通されることが多いです。
生姜の大きさ別の呼び方
『生姜』は、収穫時期だけではなく大きさによっても分類できます。流通している新生姜のほとんどは、大きい「大生姜」。漬物などに使用される「中生姜」や葉生姜などの小ぶりのものを「小生姜」と呼びます。
『はじかみ』は、皆さん耳にしたことはありますか?漢字で明記すると、「薑」、「椒」になります。『はじかみ』とは、懐石料理や定食の焼き魚に添えられていることが多い、ひょろっとした紅白色の生姜のことです。
『はじかみ』は、「金時生姜」という葉生姜の一種をやわらかくなるように軟化栽培したもの。見た目は根本が白く、先端の葉に向かって赤色をしています。見た目が矢に似ていることから、「矢生姜」とも呼ばれています。料理に彩りを与えてくれるだけではなく、お口直しの意味合いも。魚料理などの後に食べると、口をさっぱりとさせてくれます。
生姜の取り扱い説明書
香りづけや調味料としても活躍する『生姜』ですが、“切り方”ひとつで食感や味、香りまで違いが生まれます。ついつい、チューブ入りのおろし生姜が楽で手に取りがちですが、せっかく旬の『生姜』が出回る季節。料理に合わせて、『生姜』の切り方からこだわってみるのはいかがでしょうか?
“繊維”の方向に気をつけてみる
『生姜』の表面をよく見ると、縞々模様があるのに気づきます。この縞には、繊維が通っています。この“繊維”に沿って切るか、“繊維”を断つように切るか、で食感や味が変化するのです。
●繊維を断つ
繊維を断つように輪切りにすると、やわらかく、味も染みこみやすくなります。せん切りにした時は、表面が毛ばたち、食感も荒めに。繊維を断ったせん切りは、アジア料理によく使われるそう。
●繊維に沿う
繊維に沿うように輪切りにすると、パリッと食感が強くなります。漬物など、食感を活かしたい時におすすめの切り方。繊維に沿ったせん切りは食感も良く、見た目もきれい。和食で良く使われる切り方です。
生姜の保存方法
生姜の原産は、熱帯アジア。温度も適度にあり、湿度が高めの場所が元々好きで、温度が15度、湿度が90%程度の薄暗い場所がお気に入り。そのため、冷蔵庫の中は生姜にとっては寒すぎる温度帯の場合が多いのです。
室温保存
春や秋冬は、室温保存が向いています。生姜の表面を乾かさないように、ジップロックなどのファスナー付き保存袋に入れて、空気を抜いてあげます。日の当たらない、キッチンの暗所などで保存しましょう。保存期間の目安は、約2週間です。
冷蔵保存
室温が高くなる夏場のみ、冷蔵保存すると良いでしょう。ポイントは、チラシなどで生姜を包んでから、ファスナー付き保存袋に入れてあげること。チラシで包むことで、冷気から『生姜』を守ります。保存場所は、冷蔵庫の中でも野菜室など、冷気の弱い場所がおすすめです。
“ジンジャーエールの素”をお家でつくってみよう!
今月からは、『生姜』をテーマに旬を楽しみながら保存食つくりをしていきたいと思います。取り上げるのは、生姜をたっぷり使った“ジンジャーエールの素”。これから気温も落ち着いて、ほっと一息つくお茶の時間。炭酸水で割って、シュワシュワ、ピリッとジンジャーエールで爽やかに。ちょっと体が冷えたな、という時はホットで割ったり、牛乳や紅茶に混ぜて楽しんでみたり。
根生姜を使えば、ほぼ年中“ジンジャーエールの素”はつくれますが、ピンク色のジンジャーエールは「新生姜」だけ!「新生姜」に含まれるアントシアニンが酸に反応すると、淡いピンク色に変化します。また、「新生姜」と「根生姜」とでは、辛さや瑞々しさも異なるので、味比べしてみるのも面白そうです!
次回、「新生姜」を使った“ジンジャーエールの素”のレシピを公開します!ジンジャーエールのアレンジレシピや抽出し終わった生姜の活用方法なども一緒に紹介できたらと思っているので、ぜひ一緒に旬の『生姜』を楽しみましょう!
→レシピ|『新生姜』を使ったジンジャーエールの素 はこちらから!
参考
生姜屋さんとつくったまいにち生姜レシピ(池田書店)
農林水産省
新生姜とは?主な流通時期は「夏頃」だけど本来の旬は「秋頃」だった