お野菜手帳「みさきキャベツ」

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今目の前にある野菜、さて、葉っぱを食べているのか根っこを食べているのか?
はたまた茎?実?私たちは毎日食べている野菜について、どれだけのことを知っているだろう?
本当はちゃんと知らない野菜のことを調べてみた。

この『お野菜手帳』を読んだら、あなたも野菜についてちょっと詳しくなれるはず。

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    Mana Hasegawa

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    Mana Hasegawa

#018 「みさきキャベツ」

スーパーで見かける、いわゆる球を少し平べったくしたキャベツとは違い、まるで“たけのこ”のような形をしている。そう、それが『みさきキャベツ』。その形が“岬”に見えることから、この名前がつけられたとか。生食でも美味しいと評判の品種で、葉のやわらかさはキャベツの中でも断トツ!レタスのようなやわらかさと、ジューシーな甘みが特徴で1974年に発売されて以降、販売が続いているロングセラーのキャベツだ。

サラダもいいが、丸ごと料理もおすすめ。みさきキャベツを主役にした料理がぴったり!非常にやわらかいため、大量生産や長距離輸送には適さない品種でもある。

キャベツについて調べてみる。

分類:アブラナ科>アブラナ属>ヤセイカンラン種
英名:Cabbage(キャベジ)
別名:甘藍(カンラン)、玉菜(タマナ)




キャベツの代表的な種類は5つ。

冬(寒玉)キャベツ

夏に種をまき、11~3月頃に旬をむかえるキャベツ。
スーパーに並ぶキャベツの中でも、もっともメジャーな球を潰したような平べったい形で色が薄いものが多い。葉はぎっしりと詰まっており、歯ざわりはややかためだが煮崩れしにくいのも特徴のひとつ。

春キャベツ

秋に種をまき、4~6月頃に旬をむかえるキャベツ。
「春玉」や「新キャベツ」とも呼ばれる。丸みがあり、ゆるやかに葉が丸まっているものが多い。葉がやわらかいので、生食や浅漬け、炒め物や蒸し料理にするのがおすすめ。

紫キャベツ

春と秋に種をまく紫キャベツ。1年を通してスーパーや市場に出回っている。アントシアニンと呼ばれる色素が含まれており、葉は紫色。この紫色の色素は、茹でると流れ出てしまうため、生食や甘酢漬けにして食べるのが向いている。

グリーンボール

「結球キャベツ」「丸玉」「ボール系」とも呼ばれている種類。葉から中心まで綺麗な薄緑色しているのが特徴。葉はやわらかく、甘味が強い。冬キャベツと春キャベツの間に属していて、生食でも加熱調理しても美味しい万能な種類。

その他(変種)

キャベツはキャベツでも、上記の4タイプに属さないキャベツの種類もある。例としては、コロコロとしたミニサイズが可愛らしい「芽キャベツ」、青汁にも使われる「ケール」もキャベツの一種。

『みさきキャベツ』は「グリーンボール」の一種。なんとなく食べているキャベツにも、種類があり、特徴があることに今一度気が付く。手に取ったキャベツが何の種類か先に調べてから、調理してみるのも面白いかも。


保存方法

一般的なキャベツよりも小ぶりで、食べ切りやすいみさきキャベツ。鮮度の良いうちに、みさきキャベツをメインディッシュに食べたいところだが、少しずつ食べる場合は、外の葉からはがしていくように使うと長持ちする。

切ったキャベツは、水分が黒ずみの原因になるので切り口をキッチンペーパーなどで覆って、保存袋に入れて保存を。


おいしい食べ方

キャベツ独特の青臭さがなく、透き通るような甘さに驚く!やわらかい葉は、生食がおすすめではあるが、楽菜ファーム・池田さんのイチオシは「豚肉とみさきキャベツのミルフィーユオーブン焼き」だ。

半分に切ったみさきキャベツの隙間に豚肉を入れ込み、オーブンでじっくりと火を通す。加熱されたみさきキャベツは、甘さがよりぎゅっと凝縮!クタクタとやわらかい葉は、味付けしなくても十分なほどの旨みがある。みさきキャベツを見つけたら、ぜひ加熱調理も試してみて欲しい!


楽菜ファームのみさきキャベツ。楽菜ファーム・池田さん、栗田さんが農家になるきっかけにもなった野菜





illustration:Mana Hasegawa