スペシャルティコーヒーの楽しみ方『ONIBUS COFFEE』

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コーヒー豆によって味が違うって聞くけど、その違いはどこから生まれるのだろう?
『美味しい』コーヒーの秘密を知るべく、ONIBUS COFFEEとワークショップを開催!
スペシャルティコーヒーの飲み比べをしながら、コーヒーの精製方法を教えてもらいました。
コーヒーを美味しく淹れるコツもお聞きしたので、コーヒー好きの方もぜひお楽しみください!

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    Mana Hasegawa

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    Mana Hasegawa

『ONIBUS COFFEE』ワークショップレポート

会場は新拠点のファブリック株式会社のスペースをお借りしました。

カフェに立ち寄ると漂ってくる、コーヒーの香り。コーヒー豆によって味や香りが違うとよく聞きますが、『美味しい』コーヒーの違いは一体何なのでしょうか?

そんな疑問を都内だけではなく、海外でも美味しいコーヒーを届けている「ONIBUS COFFEE」の山田さんにお聞きしました。

どうやら『美味しい』コーヒーを知るには、“スペシャルティコーヒー”を味わってみるのが良いらしい…!そこで、今回は『ONIBUS COFFEE』とのコラボワークショップを開催しました。当日はドリップのデモンストレーション、さらに2種類のスペシャルティコーヒーを飲み比べしながらコーヒーの奥深い面白さを体験してきました。

ONIBUS COFFEE
2012年1月、世田谷区奥沢にオープン。2023年8月現在、系列店ABOUT LIFE COFFEE BREWERS含む、都内6店舗、栃木1店舗、海外3店舗(ベトナム・タイ・台湾)を経営。スペシャルティコーヒーの自家焙煎、飲食店などへの卸売、開業支援などを行う。
『コーヒーで、街と暮らしを豊かにする』をビジョンに、カフェやロースタリーで日常にとけ込んだ一杯を届けている。ただコーヒーを淹れるだけではなく、美味しい1杯のコーヒーができるまでの道を辿り、コーヒー豆の原産国への訪問も行なっている。その取り組みは、コーヒー豆の品質、安全性・適切性を追跡するトレーサビリティにこだわるだけには留まらず、なるべく地球に負荷のかからない循環の仕組み作りと多岐に渡る。

公式HP
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『スペシャルティコーヒー』ってどんなコーヒー?

いつも飲んでいるコーヒーは『スペシャルティコーヒー』なのか、そうではないのか?皆さんは『スペシャルティコーヒー』を知っていますか?なんとなく『美味しい』コーヒーのイメージはあるけれど、本当のところは他のコーヒーとの違いって何なのだろう。

そんな疑問もスッキリ!ONIBUS COFFEEの山田さんに、『スペシャルティコーヒー』について、教えてもらいました。

スペシャルティコーヒーとは?

品質をきちんと評価し、適正価格で取引できるように仕組みが完成され、基準をクリアしたコーヒーをスペシャルティコーヒーと呼びます。
一般的に流通しているコーヒー(コモディティコーヒー)の価値付けは、市場価値が優先され、時には生産コストを下回ることも。また、“質より量”を重視した結果、品質低下の悪循環に。そこで、コーヒーの生産を持続可能にするために1970年代に起きたムーブメントから生まれました。

大事な基準は、品質とトレーサビリティ

品質とは、Qグレーダー有資格者が80点以上つけたものをさします。スペシャルティコーヒーは、全体のおよそ10%のみと言われています。
トレーサビリティとは、『FROM SEED TO CUP』。直訳すると、『豆からカップまで』。コーヒーがカップに抽出されるまでの、生産、保管、輸送。さらに焙煎や抽出まで、私たちが美味しくコーヒーを飲むまでの一貫した体制、工程、品質管理が徹底されているかどうかを判断しています。

コーヒーの味の違いは何の違い?

今回のワークショップでは、2種類のスペシャルティコーヒーの飲み比べをしました。用意された【A】と【B】、2つのコップへ順番にコーヒーが注がれ、見た目の色や香り、味わいを比べていきます。
いざ飲み比べてみると、その味や香り、酸味の違いにビックリ!しかし、この味の違いを感想にしようとすると、なかなか言葉にならないのです。用紙に、味の感想を書いてみようとするけれど、これが難しい。

用紙に書かれた、ヒントを参考に記録していきます。ヒントには、柑橘系・ベリー系・チョコレート・ナッツ・カカオ・フローラル・ハーバル・すっきり・こってり・スモーキー、などなど。味だけではなく、香りや後味、飲み心地など表現の仕方も多種多様!
1杯のコーヒーを皆んなでじっくりと味わうのも新鮮な体験。皆さんそれぞれが好きなコーヒーはどっち?どんな時、どんな食事に合うかを話し合うのも楽しいですね!

淹れたてのコーヒーの香りをくんくん。見て、嗅いで、味わう。



2種類のスペシャルティコーヒーの味の違いを体験したら、気になってくるのが『味の違いはどこから生まれるのか』について。産地の違い?それとも品種の違い?

今回用意された2種類のスペシャルティコーヒーは

産地:ルワンダ
品種:ブルボン種
焙煎度合い:浅煎り
抽出方法:V60ペーパーフィルター

なんと、産地も品種も全く同じ!!では、なんでこんなに違うの!?その答えは、『精製方法』にありました。

精製前のコーヒー豆(上)と精製後のコーヒー豆(下)。

はちみつのような甘さと香ばしさ感じた【A】のコーヒーは、「ウォッシュト」と呼ばれる精製方法でした。「ウォッシュト」の特徴は、乾燥させる前に実からコーヒー豆を取り除きます。その後、水を使って洗いながら精製されます。

一方、チョコレート、また味噌のようなコクを感じる、とも表現する方もいた【B】のコーヒー。【A】のコーヒーにはない、味や香りの強さを感じました。【B】のコーヒーの精製方法は、「ナチュラル」。収穫したコーヒーの実をそのまま乾燥させ、その後にコーヒー豆を取り除いていく精製方法です。

全く同じ生産地、同じ条件でコーヒーを淹れても、精製方法の違いでビックリするほど、味の違いがありました。「なるほど、これがコーヒーの奥深さか!」と、新しいコーヒーの面白さに出会えた瞬間でした!

美味しいドリップコーヒーの淹れ方

さらに、お家でも美味しくコーヒーを飲めるように、ドリップコーヒーの淹れ方をデモンストレーションしていただきました。皆さんも実際に試せるように、淹れ方を聞いてきましたので、ぜひ参考にしてみてくださいね!

始めに湯通しして、カップやサーバーを温めます。



3回に分けて、くるくるとお湯を注いでいく。

【1杯分】
お好きな豆 13g
お湯 225g

1.ペーパーフィルターを湯通しする
2.ドリップにコーヒーの粉を入れ、平にならす
3.40gのお湯を注ぎ、素早くスプーンで攪拌する
4.30秒蒸らしたら、残りのお湯を30秒ごとに3回に分けて注ぐ
5.落とし切ったら完成!

地球に優しい取り組みのヒント

ONIBUS COFFEEでは、美味しいコーヒーを届けるだけではなく、さまざまな“循環”させるサステナブルな取り組みをしています。その一つが「コンポスト」。

ONIBUS COFFEEの自由が丘店と那須店では、コンポストを運用しています。コーヒーカスや野菜、果物の皮など、飲食店で廃棄される「生ごみ」をコンポスト化し、廃棄量を削減。できたコンポストは、奈良山園や那須のハーブガーデンで使用しています。那須店では、昨年の1年間で815kgの生ごみをコンポスト化したそうです!

実際のコンポスト作業の様子もお話しいただきました。

地球に優しい循環の仕組みはコンポストだけではありません。
コーヒー豆の量り売り販売によるパッケージフリー。リユースできる、または循環できる環境負荷の低い素材を使用したり、廃棄量のトラッキングをしたりされています。

また、実際にコーヒー豆を栽培している原産国へ訪問し、現地の人々と交流もされています。今年訪問したルワンダの現地写真なども紹介いただきました。
ルワンダでは、ONIBUS COFFEEの技術支援でコーヒーパルプコンポストを始めたそうです。肥料不足なルワンダの土地でも、自家製堆肥を使うことで肥料不足の解消を目指しています。

会場でいただいたルワンダの風景写真ポストカード。真ん中のひょうたん島がコーヒー農園だそうです。

普段何気なく口にしているコーヒー。その1杯が手元に届くまでの間には、たくさんの人の努力が隠れています。スペシャルティコーヒーには、コーヒー農園が継続的に安定した栽培を続けられるよう、生産者の利益を守る目的もあります。また、働く人だけではなく、コーヒー栽培における自然への配慮も忘れてはなりません。

大好きなコーヒーから、サステナブル(持続可能な)暮らしを考えていくのも良いきっかけになるかもしれませんね!

ナスやミニトマト、オクラなどの夏野菜が並ぶ。近隣の方も野菜を買いに来てくれました。

この日は、CSA LOOPでご一緒している奈良山園さんによる、お野菜販売会も行いました!奈良山園さんの野菜受け渡しは、ONIBUS COFFEE自由が丘店で現在行っています。また、8月より今回のワークショップ会場として場所をお借りした株式会社ファブリックでも、奈良山園さんのCSA LOOPを開始しました。

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